オキナワ健康ポータルサイト ぬちぐすい広場
 

  ホームむちぐすいカレンダーぬちぐすいコラムぬちぐすい情報病院・薬局案内ぬちぐすいネットワークお問合わせ  
 
ぬちぐすいコラム
介護予防事業としてのアートセラピー(痴呆を予防するために) 2004.4.30 更新
 高齢社会を向かえ、にわかに痴呆の問題がクローズアップしてきました。それに増え行く要介護者の50%が痴呆の表情を持ち、また施設に入居しているお年寄りの80%は痴呆の表情があることが分かったからです。この傾向は今後も続き、2000年には痴呆症高齢者は137万人でしたが、2025年には398万人と予想(日本大学人口研究所)されております。そこで厚生労働省が出来るだけ介護に掛かる時期を少なくする為に、2003年6月、介護予防・生きがい活動支援事業を積極的に行うよう各市町村に通達しました。その介護予防事業の中に「アクティビティ(音楽・絵画・書道・演劇療法)・痴呆介護教室」が追加され、痴呆の予防・改善に役立つ、臨床美術療法(造形美術、アートセラピー)を行うと記載されております。

 痴呆の予防・改善のためのアートセラピー(臨床美術療法)は東北福祉大学感性福祉センター研究員 彫刻家金子健二を中心に、国立武精神神経センター武蔵病院宇野正威、大宮医師会病院 木村伸らで研究を進めて来ました。そして痴呆症に関する研究の成果が発表され、医学的にもその成果が証明されました。この研究によるとアートセラピー(臨床美術療法)によって25%の方に痴呆が予防され、50%近くの方に改善が見られました。 
 
 今までは脳を活性化させるために左脳(論理的思考を司る)を刺激していましたが、アートセラピーは右脳(感情や知覚を司る)を刺激することにより左脳や前頭葉を刺激し、脳を活性化させるという方法を用いています。それを繰り返すことによって日常生活での動作行動が向上し、痴呆症の予防にも繋がるのです。

 また芸術にもいろいろありますがアートセラピーには、患者個人の感性を刺激するアプローチを行い易い「絵」の方が向いています。「絵」は個人〃の違いが表現され、自身の思い出や感情など右脳が刺激されやすいのです。芸術の中でも一つの完成形を目指す「音楽」は、画一化された結果が出てきてしまうので個人の脳の活性化を目的とするアートセラピーには向いていません。

 また痴呆症になっていても老人達は、「私は子供じゃない」とのプライドがあるので、アートセラピーにおいては題材から進行の手順まで高いレベルの創作活動の質を保たないといけません。そうでないと老人達が飽きてしまって参加しなくなってしまいます。その為に臨床美術の専門知識と高度な技術が必要となり、臨床美術士(クリニカルアーティスト)の早期養成が強く望まれていましたが、2003年5月、東北福祉大学 渡辺信英教授を中心に、日本臨床美術協会が発足し、アートセラピーの日本での普及が始まりました。最近ではNHKを始めマスコミにも取り上げられ、多くの市町村、福祉団体より臨床美術に関する問い合わせも増えており、今までに2000人以上の方が臨床美術士(クリニカルアーティスト)養成講座を受けております。

 臨床美術士は美術に興味があり、福祉や介護に情熱がある方ならば、絵が特別に得意でなくても大丈夫なのですが、現実には臨床美術士は不足しておりクライアントの要望に答えられない状況です。

 現在沖縄県内でも日本臨床美術協会沖縄支部が開設されており、臨床美術士と、コーディネーターとして私が常駐しています。活動としては、那覇市内で月に3回「脳いきいきアートセラピー」を行っていますし、宜野座では保育園にて4歳児22人が「キッズアートセラピー」を行い、年内には石垣島でも「脳いきいきアートセラピー」が行われる予定になっております。介護施設で活躍の皆さんや、興味のある方はお気軽にご連絡下さい。

那覇市若狭3−5−17
若狭クリニックビル2F
日本臨床美術協会沖縄支部
専務理事  戸袋耕行
電話 098−864−1124

日本臨床美術協会
http://www.arttherapy.gr.jp/

編集後記
戸袋先生に取材にお伺いした際、アートセラピーの現場も見せていただいた。
臨床美術士(クリニカルアーティスト)の方々が、歌による導入部分で参加者達の注意をこちらに向けさせ、思いもよらない方法で絵を描かせていく。
最初、眠たいのか、うつらうつらしていた男性や、静かにしていた参加者達も、絵が出来上がるに従って、臨床美術士らスタッフとコミュニケーションを取り、冗談を言ったりしながら作品を仕上げていく。
最後に作品を壁に貼って紹介していく時には、誇らしい顔や照れた顔をして、みんな輝いていた。
戸袋先生の「これは痴呆の治療ではなく、脳いきいき活性化だよ!」の言葉が耳について離れない。
2時間前の現実が不思議だった。
 
コラムトップへ戻る ↑
 
 
  株式会社 琉薬 AJAsystemAJAsystemは株式会社アイアムの登録商標です  
 
個人情報保護方針について
   
ぬちぐすい広場とは ホームに戻る ページトップに戻る